桜行脚

Posted by mail.ogu.check on 5月 30 2011 | 雑記

本の題名が「雄気堂々」だったような気もするが、確かでない。主人公が、毎年桜の花を求めてゴルフ行脚をする場面から物語が始まる小説で、作家の城山三郎先生とスリーハンドレッドでゴルフをご一緒させて頂いた時、桜の名所巡りをなさると言う話で「北海道はまだ桜の時期訪れていないので行きたいと思いますが、何処がいいですかね」

ゴルフをなさりながらの花見なら釧路の鶴居カントリー、花の風情を眺めるなら、静内の二十間道路、珍しいのは松前の血脈桜と申し上げたが、訪ねることが出来たのかどうか今となっては知る由もない。

私にとって最も印象に残る桜は、十和田市の夜明け前の薄闇の中で偶然出くわした桜。

苫小牧からフェリーで八戸へ着き、奥入瀬へ向かう途中の道沿いに満開の桜が・・
人一人通っていない桜並木は息を呑む美しい光景で、桜の名所に名を載せているのかどうか知らなかっただけにしばし車を止めて桜に見とれた。

日本さくらの会が、「さくら百選」に選定している名所で北海道は松前と静内の二十間道路が選ばれているが、我が家から歩いて1分の所に、それはそれは可憐な花を付ける千島桜の見所がある。 

歩いて1分の名所
我が家から歩いて1分の花見スポット

北海道開発局の敷地内に昭和59年(1984年)釧路の浜中町霧多布から苗木200本を植樹したもので、その桜が北海道でも珍しい千島桜。
エトロフ桜、国後桜とも呼ばれ北海道の高山や南千島、ウルップ島に分布。
昭和11年(1936年)植物学者の宮部金吾氏が千島桜と命名、昭和48年(1973年)北海道の記念保護樹林に指定されている。

咲き始めはピンク色で満開になると白の楚々とした花びらをつけ、桜のはかなげな風情が漂よう。

満開の千島桜
満開の千島桜

何処からともなくカメラ持参の人々がやって来るが、いずれの見物人も静かに花の美しさを愛でている様子で、千島桜にふさわしい鑑賞の仕方をしているのが好ましい。

我が家の庭にも千島桜が1本植えてある。
もう35年前になるが、釧路へゴルフに行った折、沿道の花屋で見つけ記念に求めた苗木がすくすくと育ち毎年沢山の花を付け楽しませてくれる。

我が家の千島桜
我が家の千島桜

さくら百選に選ばれている中で、見頃の時期に訪れているのは吉野山、醍醐寺、角館など20箇所ほどあるが、それ以外で見事な桜を見ることが出来たのが愛知県岩倉市の五条川沿い約8Kにわたって続く桜並木。
満開の桜が行けども行けども続く限りで、いまでも目に焼きついている。

それと滋賀県大津市にある叶匠壽庵の「寿長生の郷」で出合ったしだれ桜。
祇園白川沿いの桜、京都平野神社の黄緑色の珍しい桜。
思い出すと旅の中でのいろんなシーンで桜との出合いがある。

古希を過ぎてから、百選見て歩くのは難儀かもしれないが、桜の儚く艶やかな散り際はあやかりたいですワ。


2011年5月30日
ハスカップ 三ツ野由希子