お受験ーワインアドバイザー
歳がいもなくというか、あるいは身の程知らずと言うべきか、ワインアドバイザーの呼称資格試験に挑戦した。
ホテルでソムリエバッジを付けた若い男の子や女の子を見てこんな若い子が取れるなら私でも取れるだろうと大いなる錯覚をしてしまった。
ところがこの錯覚がとんでもない誤算であることにソムリエ教本を手にしたとたん気付いた。
ソムリエ教本
A4サイズで、厚さ3・5センチ、ページ数625枚,1枚の文字数約2000字、要するに125万字を読み、暗記しなければならない。
加えてフランス語、イタリア、スペイン、ドイツ、ギリシャ、アルゼンチン、そして英語。
すでにボケが始まっていることに気 付くべきで、覚えることより忘れることの方が上回っているのだから断念すべきだった。
しかるに、受験指導をして下さる講師の渋谷昭先生がとても優しくて、そのうえウイットに富んだ話し方をなさるので、すっかりその人柄に魅せられ勉強せざるを得ないことに相成りました。
渋谷昭先生はソムリエの世界では神様と崇められている方で、ソムリエの世界大会(ブラジル)に日本代表で出場したという経歴の持ち主。
能ある鷹というのか、ご自身の経歴を披歴するのでもなく、実に謙虚で物静かなジェントルマンで、若いソムリエにとって憧れの存在のようだ。
その方の指導を受けただけに何としても合格しなければならないと思うのだけれど、思いとは裏腹に記憶が付いてきてくれない。
神童とは言われないまでも、比較的子供の頃は、優秀なお嬢さんであったはずが遺憾せん72歳にもなるとボケばあさん。
我ながら呆れるくらい覚えが悪い。
「過去問題集」というこれまでに出題された試験問題を読んでもチンプンカンプン。
シノニムという、その道の人にとっては基本中の基本の話なのだろうが、私からすればブドウの品種を一つフランス語の綴りで覚えるのがやっとというのに、その品種の別の呼び方も覚えなければならない。おまけに呼び方が一つならまだしも二つも三つもひどいのになると、スペインのTempranillo(テンプラニーリョ)などは地方によって呼び名が違い九通りもある。
それに紛らわしいブドウ名が多い。
ピノ・ムニエ、ピノ・グリ、ピノ・ブラン、ユニ・ブラン、バコ・ブラン、ブールブーラン、ソービニヨン・ブラン、ピノ・ドーニ。
赤白の区別もつかないうえにシノニムがピノ・グリなのかユニ・ブランだったのか頭がグルグルめまいを起こす。
加えてイタリアワインの名前長いのなんの・・・・
テッレ・ディ・フランチャコルタ・ビアンコ・コンヴェント・デッランヌンチャータ
眠くなるような名前だ。
昨日、名刺交換した人の名前さえ覚えられないというのに、こんなの無理というもの。
覚えるのをあきらめて息抜きにワインに関する面白い本を読んだ。
山本博著の「はてな?のワイン」葉山考太郎の「クイズでワイン通」
いずれもワインの薀蓄あふれる内容で教本もこんな風だと、覚えるのも楽しいのになあと落ちこぼれの嘆きとため息。
愚痴ても仕方がない。
受験することを公言していた手前、棄権するわけにもいかず8月27日いざ出陣!
70点が合格ラインとのこと。
全く自信は無かったが、ヤマ感が幸いしたのか、30日インターネットで、自分の受験番号を見たときは感動した。
高校、大学、運転免許、チーズ、北海道観光マスターこれまでいくつかの試験を受けたが合格して感動したのは初めてだ。
合格通知表
試験の前2週間は我ながらよくぞ頑張ったと褒めてやりたくなるくらい一心不乱机に向かった。結果足が象のように浮腫んでしまってマッサージに行くにも靴がはけない。
これだけ努力したのできっと仏様がご慈悲をかけてくださったのだと思う。
机の上の教材
一次試験合格したら気が抜けて二次試験があることを忘れ、何人かの友人に合格したことを報告したら御祝が届いたり、食事をごちそうしていただくなど祝福ムード。
二次試験はティステングと口頭試問とのことでワインをあまり飲んでない私にとっては難題かもしれないが自分的には一次が合格すれば十分との認識。
しかしこれってもしものときは倍返しをしなければならないのかなあ?
その時は沈黙でしょう。
2012年9月8日
新千歳空港ハスカップとアイスワインの専門店
ハスカップ
三ツ野由希子