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学校給食ー名寄市学校給食センターを訪ねて

Posted by mail.ogu.check on 5月 04 2009 | 雑記

60年前にタイムスリップして学校給食をご馳走してもらった。
名寄市の学校給食センターで当社のハスカップトッピングソースを採用していただいた。
どんな献立に仕上がるのか楽しみだったのと、子供の頃、給食の時間が待ちどおしかったことを思い出して、もう一度あの頃を体験できたらとの思いで出かけた。

私が子供の頃は、給食は学校の調理場で作られていたので、お昼時ともなると教室にただよってくる匂いでその日の献立が何かを予想でき、勉強などそっちのけで早く給食にありつくことばかり考えていたように思う。

今時の学校給食は殆んど各市の給食センターで作られている。
私が訪れた名寄市の学校給食センターは,市内15校、約2600人の児童生徒の給食を作っている。

ハスカップをどのように使うのか調理の現場に立ち合わせてもらおうとしたが、検便検査をしていなければ入れないとのことで,二階の窓越しに見学させてもらった。
想像していた調理場とは違ってオートメーション化された工場のような雰囲気で、白衣を着た20人くらいの人がそれぞれのセクションで、わき目も振らず作業に取り組んでいた。

この日の献立はポークカレー。デザートは缶詰めの洋ナシで、上にハスカップソースを混ぜたヨーグルトをかけてある。
カレーは子供向きなので甘いのではないかと思ったが、それなりの辛さもあって、まあまあ美味しくいただけた。欲を言えば人参、じゃがいも、豚肉など具材の切り方をそれぞれの素材に合ったきり方をするともっと上の味になるとの感想を栄養士の方に申し上げた。

又ハスカップヨーグルトの食べ方としてバナナを細かく刻んで混ぜ合わせると美味しいので、バナナ持参で試食してもらったところ、生ものは使えないとの事で、学校給食の難しさや文科省の指導要綱に沿った献立作りをしなければならないことなど、素人の美味求心論では通用しない事柄の多さを知ることになりました。

同センターの1日一人当たりの給食費は231円。
予算の数字を聞く限りでは十分な金額でないかと思ったところ、文科省の指導で牛乳を毎食つけなければならないそうで、その結果、赤飯と味噌汁に牛乳、うどんに牛乳といったミスマッチの取り合わせも生じるようだ。
又、地産地消の推進から米、小麦、味噌、野菜あらゆるものを道内産で賄うと道外や中国産に比べるとコスト高になるそうだ。

実情を一つ一つ伺うと納得させられる事も多い。
往々にして評論というのは実態を知らないからできることで、物事の中身を知れば知るほど軽々に批判などできないものかもしれない。

話を伺った後、風連日進小中学校に案内していただいた。全校生徒15人。
全校生徒の顔写真が玄関に貼ってある。どの顔も純心な表情をしている。

風連は、当社のハスカップを栽培していただいているところで、いわばこの子らの親や祖父母が作っているもので、3,4年生のクラスの給食の様子を見学させていただいた。
楽しげに自分たちの手でごはんをよそい、カレーのルーをかけそれぞれの机に運ぶ。
「デザートにかけてあるハスカップはみんなのお家で作ってくれたものヨ」と言ったら恥ずかしそうな顔をする。何とも可愛い。
先生も一緒に同じものを食べている。
見ていたら牛乳を飲まない。先生もパスしている。

配膳のお手伝い
腕まくりして給食の用意

酪農を守るための牛乳奨励は理解できないことも無いが、戦後の食料難で栄養失調が出る時代ならともかく、栄養バランスをとる方法として牛乳を採用するのは、この栄養過多の昨今においては時代錯誤でないかと思う。

実際、パックに入った生ぬるい牛乳はあまり美味しいと思わない。ミルクティやカフェオレにして出したら飲むのではないかと思う。
捨てられるパック牛乳の経費をチーズやホワイトシチュー、ババロアなど牛乳をふんだんに使った献立に変えたほうがベターでないかと思った。
各センターの栄養士にその裁量が与えられているのかどうか分からないが、戦後から続く牛乳給食は転換してよいのではないかと思った。

昭和29年発令された学校給食法施行規則なるものがあるが、アメリカの小麦輸出政策に乗せられて米を食べるとバカになると言って「米食低脳論」がはやりパン食を推進。今度は米をもっと食べましょうと言うことで現行の週3回の米給食の回数を増やすようだ。
文科省がいちいち給食内容まで指図する必要があるのかと思う。
私の訪れた風連はもち米生産日本一のところで、月に一度は赤飯をだしているそうだ。
それぞれの地域の実情に任せて、ご飯が何回とか決めるのは文部官僚の越権行為に思える。

町おこしにうどんやラーメン、焼きそば、お好み焼きなど、それぞれの所で個性的な学校給食があっても良いのではないか。
お米好きの私としては米飯推進は結構なこととは思うが、役所が画一的な御触れを出すのはどうかと思う。

いただきます
この笑顔、心が浄化されます

さて、話は変わるがセンターの食堂の壁に興味深い写真のパネルが貼ってあった。
学校給食がスタートした明治22年から平成元年までの学校給食の献立を再現したもので、スタート当初はおにぎり2個に塩鮭と菜の漬物。
大正12年は五目御飯に味噌汁。
昭和17年の戦時中は、すいとん汁のみ。
終戦20年は、みそ汁と脱脂粉乳。食料難の社会事情が如実に現れている。
昭和27年、私が小学生の時はコッペパンに鯨の立田揚げ、キャベツ、脱脂粉乳。
昭和38年、マカロニサラダにスッテクフライ、コッペパンそれにビン牛乳とハイカラになってきている。
昭和44年はミートソーススパゲッティに牛乳、と今風の献立が提供されている。
平成になるとバイキング登場。
パネルで見る限りは明治のおにぎり献立が私的には一番美味しく見える。

明治22年の給食 昭和17年
 左:明治22年―塩鮭、おにぎり、菜の漬物
 右:昭和17年―戦時中はすいとん汁のみ

昭和20年 平成1年
 左:昭和20年―みそ汁と脱脂粉乳
 右:平成1年―バイキング登場

それにもうひとつ、よく噛んで食べましょうと貼紙に昔の人間の咀嚼回数が表示されている。
それによると卑弥呼の頃は3990回で50分。煮たり焼いたりする器具がなかった事からすれば噛み砕いて食べたことになる。鎌倉時代は2654回29分。江戸時代で1420回22分。
そして現代は620回11分。

ダイエットのひとつとしてよく噛んで食べると効果があるように言われているが、現代人の咀嚼回数が減ってきていることが、メタボ人間が増えてきていることに関連があるのかもしれない。

さしずめ、私などは1回1秒といったところかなァ・・・

5月4日  ハスカップ 三ツ野由希子









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