サホークの町 士別

Posted by mail.ogu.check on 2月 17 2009 | 雑記

前回、名寄の道の駅を紹介しましたが、その帰り道で思いがけない洒落たレストランに立ち寄ることができました。
士別は、サホークの町としてその羊の肉の美味しさについては一流シェフの間では高い評価を得ております。

もうずいぶん昔の話ですが、東京有楽町に「アピシウス」と言う有名なフランス料理のレストランがあります。この店で御馳走になった折、骨付きラムのステーキが出てまいりました。それが士別のサホークとの話で、当時はラム肉と言えばジンギスカンとロシア料理に登場するシャシリックくらいしか知らなかったで、高級レストランで扱う食材であることに少し驚きました。

今回私が訪れたレストランは、まさにそのラム肉料理オンリーの店で昨年の11月にオープンしたそうで、士別の市街地を一望できる丘の上に建っています。
店名は「ミュー」
ギリシャ語の永遠を意味するそうです。
外観は、おとぎ話に出てきそうな雰囲気の造りで、最初はレストランなのかどうか判断が付きませんでした。
良く見ると入り口のドアのノブが羊の顔をデザインしたもで、シンプルな造りながら都会的なセンスが随所にうかがわれ、意外性の楽しさを感じます。

私が伺ったときは、ランチタイムが過ぎていましたが、親切なウエイトレスが厨房にかけあってくれたお陰でラム肉のアラカルトを味わう事ができました。
野菜いため、カルパチョ、骨付きステーキの香味焼き、レバ刺し、豚汁ならぬ羊汁、ラム肉の刺身。
全てを一人で食べたので、ないことを断っておきますが、一番美味しいと思ったのは、刺身。
これは初体験でしたが、馬刺と鯨の尾身を掛け合わせたような旨みを、たっぷりな大根おろしで脂身だけを洗い流したような食感で、箸が止まりません。
その他、ハンバーグ、メンチカツ、ラムカレー,シチュー、パスタ、ピザなどメニューの全てがラム肉づくし。
ハンバーグやシチューはやはり肉質があっさりしているせいか、牛肉に比べると味にインパクトがないように思います。
しかし、ラム料理もさることながら、野菜は全て自家農園で栽培しているそうで、トマトのジュースとアイスクリーム、これは、絶品です。本当に感動的な美味しさです。

さて、このレストラン「ミュー」は、そもそもサホークの飼育と農業体験を提供するためのアンテナショプとして建設された施設で宿泊もできるようになっています。
母体となっているのはしずお農場。
農場の面積は22ヘクタール。札幌ドーム22個分の広さで、放牧されている羊は約300頭。
羊は約150日で子供を産むのでこの春には100数頭の子羊が誕生予定で、雪の消えた頃には愛らしい子羊が丘をかけている姿を見ることができるでしょう。

農場には肉の解体施設や、放し飼いの鶏卵の燻製加工もしていて、試作品をご馳走になりました。
中が半熟で燻製の燻がきつくないので食べやすい味に仕上がっています

羊についていろいろ伺がった中で、興味をひいたのは羊が牛と同属で胃袋が四つ有るとの事。
タン,こぶくろ、みの、せんまい、全ての部位が食べられるそうです。
脳みそは鱈の白子たちの食感で天ぷらにして食べることができるらしく、私は挑戦する勇気はありませんが、ゲテモノ好きな方はそそられるかもしれません。
それに羊の骨は最上級のスープが取れるそうで一度トライしてみようかと思います。
「使えないのは泣き声」とオーナー支配人の今井さん。
このユーモアのセンス、嬉しくなりました。

ラム肉の味の広がりを再発見しましたが、それにもましてオーナーのおおらかな人柄と、初耳の話にすっかり魅せられました。

年齢は私よりもずーとお若い方ですが、これほどの人物が北の地にいるということ、それが最大の収穫でした。



レストラン「ミュー」
レストラン「ミュー」
士別市川西町2853  0165 22 2151